当時、NECのPC-98シリーズはまだ健在で、Windows 95 も出回り始めていましたが、「UNIX系OSを98で動かす」という挑戦心をくすぐる存在が FreeBSD(98) でした。秀和システムでで「FreeBSD入門キット: PC-98シリ-ズで今日から始めるUNIX」という本があり、付録のCD-ROMでインストールを試しました。
私が用意した環境は、いまとなっては骨董品のような構成です。
- 
外付け SCSI 2GB HDD にFreeBSDをインストール
 - 
拡張メモリ(EMS)で必死にメモリを確保
 - 
386マシンを Cyrix製CPUアクセラレータ(486DLC)に換装
 - 
グラフィックボードは カノープス製 を購入してX-Window動作を目指す
 
今では笑ってしまうかもしれませんが、XFree86のビルドには 数十時間 かかりました。夜中にコンパイルを始めては、翌朝になってもまだHDDがカリカリ動き続けている。ファンの回転音とHDDのアクセス音が、まるで「挑戦を見守る仲間」のように感じられました。
そして、ついにX-Windowが立ち上がった瞬間。
白黒のシンプルな画面にウィンドウが表示されるだけなのに、「386が486DLCになり、PC-98でUNIXが動く!」という感動は今でも忘れられません。Windowsよりも無骨で、でも確かに「自由にカスタマイズできる自分だけの環境」を手に入れた喜びがありました。
当時はすべてが実機でのトライ&エラー。ドライバが動かない、カーネルが落ちる、設定ファイルに苦戦する。そんな障害のひとつひとつが、逆に楽しくて仕方なかったのです。
FreeBSD(98) は単なるOS移植ではなく、技術者としての好奇心を存分に満たしてくれる存在でした。今では、PC-98本体は処分してしまいしたが、「あの数十時間かけてビルドした夜」を懐かしく振り返ります。

0 件のコメント:
コメントを投稿