なぜ今オラクル(Oracle)の評価が高まっているのか
はじめに
「オラクルって古いDBベンダーでしょ?」
一昔前まではそういう印象を持つエンジニアも多かったと思います。
しかし近年、オラクルは再び注目を集めています。
特に クラウド基盤(OCI) と AI需要 の高まりによって、技術者から見ても「面白い動き」をしているのです。
この記事では、オラクルが今なぜ評価されているのかを エンジニア視点の技術戦略解説 として整理します。
1. OCI(Oracle Cloud Infrastructure)の後発メリット
オラクルはクラウド市場では後発でした。AWS や Azure、GCP が先行する中で「もう勝ち目はない」と言われた時期もありました。
ところが後発であることが逆にメリットとなり、OCI は以下の特徴を持っています:
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第2世代クラウド設計
→ 仮想化やネットワークのオーバーヘッドを減らし、高スループット・低レイテンシを実現。 -
シンプルなネットワーク設計
→ VCN(Virtual Cloud Network)は AWS VPC より分かりやすく、トラブルシュートも容易。 -
低コスト設計
→ 他社クラウドよりストレージ・ネットワーク転送料金が安く、大規模システムでのTCO削減につながる。
エンジニアにとっては「性能チューニングやコスト最適化がしやすいクラウド」として再評価されています。
2. データベースの強みをクラウドに直結
オラクルの最大の武器はやはり Oracle Database です。
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金融や製造、物流などミッションクリティカルなシステムの基盤。
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移行コストが非常に高いため、他DBに簡単には移れない。
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Exadata(DB専用アプライアンス)のクラウド版を OCI 上で提供。
つまり オンプレで使ってきた同じ DB をそのままクラウドに持っていける のが大きな強みです。
「既存顧客が OCI を選ばざるを得ない構造」になっており、クラウド移行の流れを後押ししています。
3. AI ワークロード対応と GPU 提供
2023年以降の生成AIブームにより、クラウドの価値は「AIワークロードを支えられるか」に大きくシフトしました。
オラクルはここで大胆な投資を行っています:
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NVIDIA H100 GPU クラスターを OCI に大規模導入
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超高速RDMAネットワークでGPU間通信を最適化(AI学習に必須)
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大規模AIスタートアップ(Cohere など)がOCIを採用
エンジニア目線では「OCIはAIワークロード特化クラウド」として強みを出しており、AWSやAzureとの差別化に成功しています。
4. オープン技術との連携強化
オラクルといえば「囲い込み戦略」のイメージが強かったですが、近年はオープン系との連携を積極的に進めています。
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Kubernetes / Docker との親和性を強化
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Terraform など IaC ツールで OCI を扱いやすく整備
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MySQL HeatWave を OCI で提供(MySQL に機械学習・分析機能を統合)
従来の「閉じた Oracle」から「オープン技術と並走する Oracle」に変化してきており、エンジニアが採用しやすい環境が整っています。
まとめ
オラクルが今になって評価を高めている理由をエンジニア視点で整理すると:
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OCI が後発メリットを活かした高性能・低コストクラウドとして台頭
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既存の Oracle Database ユーザーをクラウドにシームレス移行できる強み
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AI ワークロード対応(GPU提供・高速ネットワーク)で差別化
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オープン技術との連携強化で開発者に寄り添う姿勢を見せ始めた
一時は「古いDBベンダー」と思われていたオラクルですが、技術戦略を大きく転換したことで再び注目されているのです。
💡 エンジニアにとってのポイント
OCI は「DBに強いクラウド」から「AIにも強いクラウド」へと進化中です。
既存Oracleユーザーに限らず、新規開発でも選択肢として検討する価値が出てきています。
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