Windows 11のパスキーとは? ― パスワードに代わる「次世代ログイン」のカタチ
インターネットやアプリでのログインで、パスワードを覚えるのが面倒だったり、セキュリティが心配だったり…と思ったことはありませんか?Windows 11には、そんな悩みを解消する「パスキー(Passkey)」という新しいログイン方式があります。ここでは、パスキーが何か、どう便利か、使い方、注意点を一般の方向けにやさしく解説します。
パスキーって何?パスワードと何が違うの?
「パスキー(Passkey)」は、FIDO(ファイド)アライアンスという業界団体で策定されている認証規格を元にした方式で、以下のような特徴があります。Windows 11では、Windows Hello(指紋・顔認証・PINなど)と組み合わせて使えるようになっています。 Microsoft Learn
項目 | 従来のパスワード | パスキー |
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覚える必要 | “password123”のような文字列を覚える必要がある | 覚える必要なし。デバイスに秘匿鍵が保存され、顔認証やPINで解除する方式 |
複数サービスへの使い回し | 同じパスワードを使い回してしまうことがありリスク大 | サービスごとに異なる鍵(公開鍵/秘密鍵ペア)を使うため、使い回しリスクが非常に小さい Microsoft Learn |
フィッシング耐性 | メールで偽サイトに誘導されてパスワードを入力させられる等の被害あり得る | 秘密鍵はデバイス内に保存され、偽サイトには署名できないため、フィッシング被害のリスクが低い Microsoft Learn |
Windows 11でのパスキーの仕組み・使い方
仕組み
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Windows 11では、バージョン 22H2(KB5030310 以降) から、パスキー管理のネイティブ機能が提供されています。 Microsoft Learn
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パスキーは、あなたのデバイス(PC)に「秘密鍵」を安全に保存。「公開鍵」が Web サイトやアプリに登録されます。ログイン時は、公開鍵側からの認証リクエストに対して秘密鍵で署名をし、それを Windows Hello(生体認証やPIN)を使って解除した上で応答する形です。 Microsoft Learn
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また、別のデバイス(スマホやタブレット)を「リンクされたデバイス」として使って保存・認証するオプションもあります。 Microsoft Learn
使い方(セッティング手順の概要)
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対応している Web サイトやアプリで、ログイン設定画面から「パスキーを設定/利用」できる項目を探す
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Windows 側で、設定アプリ → 「アカウント」 → 「Passkeys」(または似た名前の項目)を開く マイクロソフト サポート+1
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Windows Hello の顔認証・指紋認証・PIN のうち使えるものを確認・設定
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パスキーを作成すると、以後はパスワードを入力する代わりに、デバイスのロック解除メカニズム(例:顔認証)で本人確認してログイン可能に
管理方法
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設定アプリの中に「Passkeys」一覧があり、自分がどのアプリ・サービスでパスキー登録しているか見られる。不要になったパスキーは削除可能。 マイクロソフト サポート
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Microsoft アカウントで使っているログイン用のパスキーのいくつかは削除できないものもある(サービスとの紐付けのため)ことに注意。 マイクロソフト サポート
メリット・利点
パスキーを使うことで、次のようなメリットがあります:
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セキュリティ向上:パスワード盗難・使い回し・推測攻撃などのリスクが減ること。特にフィッシング詐欺に強いです。
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使いやすさ:覚えるパスワードが減り、入力ミスも減る。生体認証を使えばログインが秒速に近くなることも。
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プライバシー保護:生体情報(顔・指紋など)はデバイスを出ないため、外部に流出しにくい。サービス側には公開鍵しか保存されない。 Microsoft Learn
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将来性:パスキー対応のサービスやアプリが増えてきており、今後「パスワードなし」が標準になる可能性も高い。
注意点・デメリット
とはいえ、万能ではないので注意点もあります。
注意すべき点 | 内容 |
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対応サービスが限定的 | 全ての Web サイトやアプリがパスキーに対応しているわけではない。対応していないところでは従来のパスワードが必要。 |
デバイスの紛失・壊れたとき | デバイスを失くしたり壊れたりすると、その中の秘密鍵にもアクセスできなくなる可能性がある(バックアップや別のデバイスでのリカバリ方法があるサービスなら安心)。 |
Windows Hello の設定が必要 | 顔認証・指紋・PINのいずれかが有効になっていないと使えない。センサーがないデバイスでは使えないことも。 |
管理が少し複雑になることもある | どのサービスでどのパスキーを使っているか把握しておく必要がある。複数デバイスを使い分けている場合、どのパスキーがどのデバイスに保存されているかを注意。 |
こんな人におすすめ
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パスワードをたくさん管理するのが大変な人
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フィッシング詐欺などパスワード漏えいのリスクをできる限り避けたい人
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顔認証・指紋認証付きPCやセンサー付きデバイスを持っている人
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日常的に使うアプリ・サービスがパスキー対応してきていて、利便性を追いたい人
まとめ・今後の展開
Windows 11 のパスキーは、これからログイン方式の主流になる可能性が高い新しい技術です。パスワードの手間やリスクが減り、安全で使いやすい方法として、広がっていくことが期待されています。
もしこれから PC を買うなら、Windows Hello に対応したもの、顔認証や指紋認証センサーがあるものを選ぶと、パスキーの恩恵を最大限受けられるでしょう。また、使っているサービスがパスキーに対応しているかもチェックしておくといいですね。
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