モノづくり離れの時代に思うこと ― 電子工作・DIYはどこへ行ったのか


 

最近、ふと感じることがあります。

それは――**「人々のモノづくりに対する関心が、ここ数年で大きく衰えているのでは」**ということです。

かつては電子工作キットを前にワクワクし、
週末は木材を切って棚を作り、
失敗しても「次こそは」と再挑戦する――そんな熱気がありました。

しかし今、SNSを見ても、身の回りを見渡しても、
「自分の手で何かを作る」ことを楽しむ人は以前よりは少なくなったように感じます。
なぜ、モノづくりの熱が冷めてしまったのでしょうか。


⚙️ 1. 電子工作が“簡単になりすぎた”時代

昔の電子工作は、手探りそのものでした。
部品を集め、回路を考え、はんだごてを握り、ようやくLEDが光った――
その瞬間の達成感こそが醍醐味でした。

しかし今は、ArduinoやRaspberry Piをつなぐだけで、ほとんど何でも動きます。
センサーや制御モジュールは完成品として売られ、
プログラムもネットからコピーするだけ。

便利になった反面、
**「苦労して動かす面白さ」や「自分で考える余地」**がどんどん失われていきました。

結果、電子工作は“ある程度、誰でもできるけど、深くハマりにくい趣味”に変わってしまったのです。


🪚 2. DIY文化の衰退 ― 「作るより買う」が当たり前に

かつてDIYは、“必要だから作る”ものでした。
欲しい棚がなければ自分で木を切って作る。
壊れた道具は自分で直す。

でも今は、
ニトリや100円ショップに行けば、手頃で高品質なものが揃っています。
Amazonで「ポチる」方が早くて安い。

便利な時代になった一方で、
**「自分で作る意味」や「手間を楽しむ文化」**が薄れてしまいました。


🧠 3. 若い世代が「作る経験」を失っている

学校での技術や家庭科の授業は減り、
家庭にも工具やはんだごてがない。
火や刃物を扱う機会は、危険だからと制限される。

結果、子どもたちは**“モノづくりの感覚”そのものを体験する機会を失っている**のです。
工作の喜びや失敗の学びを知らずに育った世代が増える――
これは文化として大きな損失かもしれません。


💡 4. それでも「作る人たち」は残っている

とはいえ、完全に消えたわけではありません。
むしろ今は、“作ることを愛する人たち”が静かに活躍しています。

YouTubeでは、ガレージで自作ロボットを作る人、
木工×電子でアート作品を作る人、
ESP32やM5StackでIoTガジェットを開発する人――

彼らは効率ではなく、**「作る過程そのものを楽しむ」**ために動いています。
それが新しいモノづくりの形です。


🔭 5. モノづくりの未来へ ― “効率”より“手触り”を取り戻す

これからの時代、モノづくりは「量産」や「実用」ではなく、
**“自分の世界を表現する手段”**として再定義されるべきだと思います。

AIが設計し、3Dプリンターが形を作る時代だからこそ、
手で触れ、失敗して、工夫して、完成させる――
その“人間らしい作る喜び”が、いっそう価値を持つのではないでしょうか。


✳️ おわりに

モノづくりは効率で測るものではなく、
「作ってみたい」という純粋な衝動から始まるものです。

もしあなたの中にも、少しでも“何かを作ってみたい”という気持ちがあるなら、
その小さな衝動を大切にしてください。
どんな小さな作品でも、世界にひとつしかない“あなたの表現”なのです。


▼筆者メモ:最近の関心

  • 電子工作:ラズベリーパイPicoがあるけど、以前のように何かやる気が起こらない

  • プログラム連携:C#+WPFで自作ツール開発中

  • ブログ記事作成、Sora2による動画生成

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